VOL.2 リンダ リンダ リンダ

リンダ リンダ リンダ

 f:id:mr-kinoko:20190607000429j:image

 

この映画に言えること、それはただ一つ。

俺はこの映画が好きなんだ!

誰がどう言おうとこれは日本映画史に残る最高傑作だろ!と言いたい。

僕ははっきり言って青春映画はあまり好きではありません。ましてや高校が舞台で男と女がちちくりあっているような映画は、スプラッター映画よりも恐ろしくかつおぞましいです。更に追い討ちをかけるが如く、最後に無理やり感動を誘ってくるようなものであれば僕は生き絶えます。

しかしこの映画は違うのです。これは完全なる私の異常な愛情です。ではまたは私は如何にして心配をするのを止めてこの映画を愛するようになったか、説明していきます。

 

まず映画のあらすじを簡単に。

とある地方都市の女子高校生たちの高校生活最後の夏を描く青春群像劇。バンドからギタリストが脱け、3日後に迫る文化祭で何を演奏するか困った響子、恵、望の3人は、オリジナル曲を断念。ブルーハーツのコピーをすることに決めて、韓国人留学生ソンをバンドに引き入れて練習を開始するが……。

出典:映画.com

 

この映画は青春というものをイタいものに見せるように撮られていると思います。青春をちょっと上の方から俯瞰してみるような感じです。だからこの映画に出てくるシーンは意外にもキラキラしている部分は少なく、ドロドロしていたり、圧迫感を感じるシーンが多々あります。それは最初のシーンから始まっています。映画の一番頭は、女の子がカメラに向かってセリフを言うところから始まります。しかも棒読みで。このシーンから始まることによって青春というものを陳腐なものであると観客に伝えています。そしてバンドの結成の仕方もなかなかに嫌なもので、もともとバンドを組んでいた香椎由宇演じるケイと三村恭代演じる凛子の不和とギターリストの骨折によって5人組バンドが急に3人になり、急遽ペドゥナ演じるソンちゃんをバンドに加入させるという、まぁ色々なものが絡みに絡みまくった嫌なムードが全体に漂っています。

 

とまあこんな感じでキラキラした青春というものはあまり見せていないような印象を受けました。そして主人公であるソンちゃんの描き方がこの映画を表していて、このソンちゃんの心情があまり伝わってこないような描き方をしています。常に無表情、韓国人なので日本語の会話もうまくない。このソンちゃんに感情移入できないのもこの映画の特徴の一つだと思います。

 

そんな中でもちゃんとした青春はあります。例えば真夜中の学校に忍び込んで夜通しバンド練習しているシーンとかは、かなり青春感があってすごく良かったです!(僕は男と女の青春ものは嫌いですが、男と男または女と女の青春描写は大好物なのです!)

あとは若かりし松ケンがソンちゃんに告白するシーンだったり、前田亜季演じる山田が好意を寄せてる男の子に告白しようとする場面だったり、うん青春感ですねー。でもこの二つはどっちもうまくいきません。ここにも監督の青春をキラキラしたものにしない演出がなされています。

 

ここまでこの映画の普通の青春映画とはちょっと違うところを説明しましたが、何故僕はこの映画を愛してやまないのか。ズバリ、

僕はこの映画のラストシーンが好きすぎるから!

これに限ります。

 

物語のラストは文化祭最終日のバンドの演奏会に進んでいきます。彼女達はこのライブの為にわずか3日という短い期間に練習を重ねていました。その疲れがピークに達してしまい、スタジオで最後の練習をしていた4人は思わず居眠りをしてしまいます。起きるともうライブが始まっている時間、外は土砂降り。これだけでキラキラした青春とはかけ離れている状況ですよね。そしてびしょ濡れになりながらも何とか会場に着き、彼女達はザ・ブルーハーツの演奏に青春のすべてを掛けるのです。その演奏というのもめっちゃ上手い!ってわけでもない、冷めた目で見ればイタい演奏。でもその演奏がこの映画を物語っていて、

青春というのは確かにイタいものだし、陳腐なものではある。だけどその演奏しているまさにその瞬間。その瞬間だけは紛うことなき最高の青春の一部になるのだと思います。

映画のラストは「終わらない歌」の演奏と共に、誰もいない廊下や教室、下駄箱、土砂降りのプールやキャンプファイヤーをした後の文化祭の残骸などのカットが次々に映されます。このカットの連続全てに青春の空虚さと陳腐さが漂っており、やはり最後まで青春というものをキラキラしたものとして撮らずにこの映画は終わります。あのラストは青春というものをこの映画最大の俯瞰した視線で描かれています。それによって私たちにノスタルジーに近いような感情を引き出して、イタい青春の最高の瞬間を味わせてくれる。本当に最高の終わり方だと思います。このラストがあるからこそ、僕はこの映画が傑作だと思う理由なのだと思います。

皆さんも是非、みてみてね!!

 

 

リンダ リンダ リンダ

リンダ リンダ リンダ